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第6話 ピンクの制服!?

last update Petsa ng paglalathala: 2026-04-14 07:38:42

 拝啓、昨日の俺へ。

 今日、俺はお前のせいでとんでもない姿になっています。

 バイト先の鏡の前で、そう思わずにはいられなかった。

 昨日の自分を責めたくて仕方がない。心の中で土下座してほしいレベル。

 やってしまったのだ。

 いつもの制服を、うっかり乾燥機にかけたまま、朝まで放置してしまった。

 気づいた時には時すでに遅し。

 絶望的にピチピチに縮んだ制服の出来上がり、ってわけだ。

 初出勤から一週間以上が経ち、ようやくバイトにも慣れてきた。

 佐伯とはいがみ合いながらも、俺はなんとか一人でアイスのシングルカップを作れるようになった。

 ……クレープはまだまだ絶望的で、注文が入った時は俺以外の人が作ってくれているけれど。

 縮んだ制服を片手に、出勤してすぐに店長に相談した。

「ごめん小瀧くん、今店にあって着られる予備は、これしかないんだ」

 渡されたのは、ピンクを基調にした制服だった。

 ベビーピンクの半袖ポロシャツに、エプロンは黒地に濃いめのピンクのラインが入っている。

 元々男性でも着られるデザインだけど、この職場では女子チームがよく着ているため、男子のほとんどは、色違いのミントグリーンの制服を着ていた。

 鏡の前に立って、俺は顔をしかめるしかなかった。

「あー……マジで詰んだ。いや、でも今日だけなら何とか……」

 羽織を着たて誤魔化せればいいんだけど、ルール的にそうはいかない。

 “アイス屋の店員が長袖じゃあ、冬場はアイスクリームが売れなくなる”

 それが創業者のモットーらしい。

 だから、俺たちはどんなに寒くても、店内では真冬でも暖房をガンガン付けて、半袖の制服を着用させられていた。

 割と有名なチェーン店だが、北から南まで全国の店舗で共通ルールらしい。

 確かに、半袖姿の店員が笑顔でアイスを渡す姿はかわいく見えるし、商品の魅力も増すのかもしれない。

 でも、鏡の前に映る自分には、このピンクが忌々しい色にしか見えないのだ。

 勤怠アプリを「出勤」にした瞬間、更衣室のドアが勢いよく開いた。

「……え、小瀧?」

 ああーー、もうやだ。よりによって、佐伯と一緒のシフトだった。

 他のメンバーなら笑いで誤魔化せる。でも、一番それが通用しなさそうなヤツ。

 そして、見て欲しくない相手が来てしまった。

 佐伯はドアノブを握ったまま固まっていて、俺は居た堪れなくなる。

 一瞬、時間が止まった気さえした。俺だけじゃなく、あっちも。

「あんまし、見ないで」

 声を出した瞬間、自分でも情けなくて死にたくなる。

 でも、言わずにはいられなかった。顔を背けても、視線が刺さる。

 事情を説明するか悩んでいると、佐伯はドアを閉め、ロッカーにリュックを突っ込みながら、いつもの平然とした態度で着替え始めた。

(え、まさかのノーツッコミ? ……逆に気まずいんですけど)

 俺がそわそわしているのに気付いたのか、佐伯はロッカーのドアをバタンと閉めてから淡々と口を開いた。

「似合ってる」

「は?バカじゃねぇの。似合ってるわけねーだろ、眼科行け」

 当然のような顔で、真顔で言うので、ますます恥ずかしい。

 俺は制帽の角度を直しながら、熱くなる頬を背けて隠した。

「まじで死ぬからやめて、見ないで」

「いや、見てないけど」

 その声に振り返ると、言葉とは裏腹に着替えながら佐伯がガン見してくる。

「ほら!見てるじゃんやっぱり!」

「見てないって」

 でも言っても無駄なのは分かっている。

 こいつは基本、俺のメンタルをぐしゃっと握ってくるタイプの人間なのだ。

 大声で抗議して、心臓は勝手にドキドキしている。

 制服のポケットにボールペンやメモ帳を差し込んでいると……また視線を感じる。

 ぱっと顔を上げると、勢いよく佐伯が顔を逸らした。

「……ねえ、絶対見てるよね!?」

「見てない。自意識過剰。マジで興味ないし……」

 いや、その興味ない風の言い方が逆に怪しいんだよ。

 と、思っているうちに、いつもの佐伯のルーティンが始まった。

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